2012年7月実施 東日本大震災 災害支援ボランティアバスの報告

2012年7月ボランティアバス参加レポート
社会貢献学会学生会員・神戸学院大学2回生 髙﨑百加

社会貢献学会では7月20日から23日まで東日本大震災である宮城県石巻市雄勝町にボランティアバスを出しました。参加者は大学生は神戸学院、浜松大学、東北福祉大学から17人、社会貢献学会会員として東北福祉大学教員1人神戸学院大学大学院生1人、ボランティアグループで活動している方が1人参加しました。そして今回は災害の教材DVD作成のためNPO法人映像記録から4人の計24人が参加しました。

今回のボランティアバスは社会貢献学会が継続的に雄勝町を支援するための、前回の6月に引き続き第二回目のバスです。
20日16時から、神戸学院大学ポートアイランドキャンパスで事前研修会が行われ、神戸・大阪組の参加者12人が、社会貢献学会の前林清和(神戸学院大学教授)から活動の心構えなどを聞きました。そして参加者一人一人が自己紹介をし今回のボランティアに対する思いを話しました。また班のリーダーを決めて、浜松大学と東北福祉大学の学生をあらかじめ班分けしました。
18時半にバスは出発し、途中SAにて2.3時間おきに休憩をはさみながら、新東名浜松SAにて浜松大学の学生6人が乗車。21日8時には仙台駅東口に到着し、東北福祉大学の教員と学生6人が乗車した後、石巻市雄勝町を訪れました。

水浜地区の旧水浜地区保育所(宿舎)に到着し、浜松大と東北福祉大の学生を含めて自己紹介をして班にわかれました。班のリーダーがメンバーを紹介する他己紹介をし、チーム作りを行いました。その後昼食をとり、活動へと向かいました。まずは道路が所々陥没し穴になっておりその状態では車が走行しにくいため、それに石を敷きつめる作業をしました。スコップで石を運び、穴を埋める作業を繰り返しました。また、道路沿いの草とりも行いました。これにより、道路は整備され車が走行しやすいようになりました。その作業が終わると、次は道路の待避所の側溝にたまった土砂を出す作業を始めました。道路での石を敷きつめる作業もそうでしたが、この作業も当初予定していた時間よりもかなり早く終わりました。そして今日の活動の最後として保育所周辺の水路にたまった泥かきをしました。これは前回6月のボランティアでも行った続きになります。前回は時間の関係で途中までの作業だったので、今回は泥かきを完全にして水路を綺麗にすることを目標に作業に取り組みました。泥は非常に多くて重く、スコップで土砂をかごに入れて運ぶ作業を繰り返しました。水路の周辺は狭いため、動ける人数が限られる中、声を掛け合いながら協力して作業を行うことができました。各自ができることを、臨機応変に行動できていたと思います。また、一緒に作業を行っている自治会の方に言われる前にメンバーが積極的にできること見つけて提案し行動していたことが印象的でした。作業が終わると、保育所の周辺は作業前と比べて大変綺麗になり、住民の方にも喜んで頂けました。メンバーも達成感で嬉しそうでした。そして、前回のボランティアと繋がっている活動ができたことに継続して行うボランティアの必要性と重要性を感じました。

その後、OH!ガッツ事務所にてシャワーを浴びさせて頂き、夕食は水浜のご婦人方がかき揚げ、サラダ、お吸い物、そして地元で獲れたくきわかめなど栄養いっぱいの食事をふるまって下さりました。
この後振り返りを行い、各自が活動での感想を発表しました。初めてボランティアに参加した学生も多かったため、「ボランティアがどのようなことなのか活動することでわかった」「現場を見なければ分からないことがたくさんあると思った」と思い思いの感想を述べ、全員で感想を共有することができました。初日の活動では、協力して予定していたよりも早く作業が終わったのですが、この作業が震災による過疎化の進行と住民の方々の高齢化により、ずっとできないままでいたことに雄勝が抱える問題の深刻さを感じたようです。翌日の活動に繋げるため、今日の協力できたことを活かしていこうと話し合いました。

2日目の活動は、山での用水路作りです。前回の活動では、ここのお墓の上に沢が流れているが、大雨の時にはお墓の水路がえぐられてしまうため、雨が降っても水が溢れないように土嚢を積む等の手当てをする水路の補修を行いました。今回はその補修した水路にあった大きな岩を動かし水を通りやすくし、どんどん山の下へ水路が続くようにスコップで水路を掘って作っていきました。この大きな岩は前回のボランティアで岩を動かすために周辺を掘っていたものの、時間の都合上途中までとなっていた作業でした。今回は網を使うなど工夫をして、地元の方とメンバーが協力して動かすことができました。またスコップで水路を掘って作っていく作業は、岩や石が多いため難しかったです。しかし、作業が進んでいくとコツをつかんで、役割分担をうまくしながら順調に行うことができました。そして、地元の方が伸び放題になっていた雑草をチェーンソーで刈って、私たちがそれを集めて掃除していく作業も行いました。午前の活動では地元の方とコミュニケーションをとりながら、一緒に作業をすることができ、充実した時間を過ごせることができました。

午後からは民家の周辺にある側溝にたまった土を出す作業を始めました。側溝が細く長いため、小さなスコップやほうきで土を作業用一輪車に出して運ぶ作業を繰り返しました。休憩中、住民の方が手作りそばを振る舞っていただき、全員で美味しく頂きました。その後も、側溝の土出し作業が続き作業が終了すると住民の方に「私一人だとまるで進まなくて困っていた。ありがとう、ここまで綺麗にしてくれて嬉しい。皆さんを待っていました」と感謝の言葉を言われ、やりがいを感じました。次に、海辺で養殖に使用する石を拾って集めました。このように、住民の方の生活基盤を作るための産業復旧に携われたことに、大きな意義を感じ、多様化する支援のあり方について考えさせられました。

昼食は前日と同様、水浜のご婦人方がカレーライスをふるまって下さいました。みんなでおいしく頂きました。午後からは、自治会長の秋山さんをはじめとした、水浜地区の方々との交流会をしました。交流会では神戸学院大学の学生が、神戸や大学の紹介をパワー
ポイントで行いました。浜松大学の学生も、浜松や大学、日頃から行っているボランティアの活動を紹介しました。その後、神戸から持ってきたお菓子を皆さんにふるまって、様々なお話をすることができました。神戸でも有名なお菓子は、皆さんに喜んで頂き嬉しかったです。そこから「どこで買えるの?」「昔神戸に行ったとき食べた」と、会話が弾むこともありました。皆さんとのお話では、何気ない日常会話をしたり被災体験を聞いたりしました。住民の方々とは、楽しいお話もできましたが、被災体験をお聞きすると考えさせられることが多く、今後のボランティア活動に身が引き締まる思いでした。また、伝え聞いたことを自分の中だけに留めずに、周囲に話すこともしていきたいと思いました。

全体作業の振り返りは宿舎である保育所で行われました。振り返りでは「初めて会ったメンバーが協力してボランティアできてよかった」「何よりも、住民の方々に喜んで頂けてやりがいを感じて嬉しかった」「初めてのボランティアで緊張していたが、ボランティア経験者の人たちの行動する姿を見て、このように行動すればいいのかと学ばせてもらった」という声がありました。2日間のボランティアを通して、各々が感じたことを率直に話していきました。全員で各自の意見について考えることができました。全員の意見で共通していたのが、「今回の経験を活かして、またボランティアをしたい」ということでした。2日間、有意義なボランティア活動をすることができました。自治会長の秋山さんにも、「もう水浜地区での作業はなくなったと言えるくらい、作業をしてもらった」と嬉しいお言葉を頂けました。
住民の方とお別れをして、雄勝を出発し石巻市内の銭湯にて入浴しました。仙台駅で東北福祉大の学生が下車しました。わずか2日間の活動でしたが、共に活動した仲間との別れに名残惜しく会話をしていました。その後、途中SAにて休憩をはさみながら帰路へ。浜松SAで浜松大の学生が下車しました。仙台駅での別れに続いて二度目の別れに、神戸学院大の学生などの神戸組は寂しそうに記念撮影をしていました。そして23日の8時半には神戸学院大に到着しました。
リーダーとして参加した社会貢献学会会員の塩野達史による事後研修会では、ストレッチ体操を行って心身のケアをし、メンバー全員が活動の感想を発表しました。発表では「初めてのボランティアだったが、想像よりも得るものが多かった」「ずっと行きたいと思っていた。現地に人がいないと聞いて誰かがしないといけないと思った。作業で石を動かすことでも時間がかかったため、もっとボランティアが必要。ボランティア意識を高めていきたい。ボランティアで人との出会いなど得られることが多く、自分が成長できた」「ありがとうと言われる嬉しさを感じた。積極性と協調性を学べたので、今後も活かしていきたい。自分が感じたことなどを友達に話して、震災を風化させないことが大切だと思った」「復興がまだまだ進んでないこと、若い人がいないため、復旧が大変だと思った。現地の人の温かさを感じた。募金など小さいことから始めて、活動を続けていきたい」「被災体験は反応できなかったが、話を聞くだけでも相手の気持ちが違うと感じた」「被災地被災者と言ってもひとまとめにできない。状況や住民の方のニーズが違う。今回はニーズに応えられたことも大きかった。これからも継続してボランティアをしたい」という感想でした。今後も継続してボランティア活動をしていくことの重要性を全員で再認識しました。
(社会貢献学会学生会員・神戸学院大学2回生 髙﨑百加)