東日本大震災支援委員会 現地調査報告④ (2011年3月28日~30日)
29日は午前中、工学院大学、神戸学院大学とTKK3大学連携プロジェクトを組んでいる東北福祉大学(仙台市青葉区)を訪れた。荻野浩基・東北福祉大学長、大竹榮・同大学総務局長らにお見舞いを申し上げた後、福富哲也・東北福祉大TKK分かち合い連携センター長が学生と大学施設の被害状況、今後のボランティア活動の計画などを説明した。
それによると、大地震が起きた際は授業中で、多くの学生がキャンパスにいた。学舎はほとんど被害がないため、自宅に帰るよりは大学に残った方が安全、と1200人以上が4日間、学内で暮らした。余震が少し治まった14日の月曜日に解散したという。食料は学生たちが冷蔵庫の中に残っていたものを持ち寄ったため助かった、という。
苦労したのは、5400人の学生と教職員の安否確認。安否確認システムやHPを駆使し、ゼミやサークル活動の名簿を便りにメールと電話で作業を進めたが、なかなか連絡の取れない学生もいて、結局最終的に確認出来たのは、地震発生から約2週間たっていた。亡くなられた学生は3人、行方不明が1人。深く哀悼の意を表します。安否確認は、同席した東北大学大学院の柴山明寛・助教によると、新しいシステムを導入していた東北大学でも苦労したようで、今後、大学での学生・教職員の安否確認のあり方に課題を残した。
ボランティア活動への学生の意欲は当然ながら非常に高いが、発生直後は、危険箇所や学生ボランティアでは難しい地域も多く、自重していた。4月1日になって学内に「東日本大震災東北福祉大学ボランティア会」が発足。バスで仙台、名取、石巻市などに日帰りでのボランティアを続けている。今後は、連携大学をはじめとするボランティアの受け入れも検討しているという。福祉大のこれからの課題として、住宅を失った学生への住宅支援、採用取り消しになった学生たちなどへの就職支援、さらに学業支援、心と健康へのケアなどを挙げた。これに対し、工学院大と神戸学院大両方から、「最大の支援」が提案された。
久田嘉章・工学院大建築学科教授からは、就職活動支援として、工学院大関係施設の宿泊や新宿区周辺施設での400人程度の宿泊施設の提供が提案され、久田教授は「工学院大は大学を挙げて応援しています」と学長の強いメッセージを伝えた。
前林清和・神戸学院大人文学部教授からは、学内に支援対策本部を起ち上げ、東北福祉大を中心に東北支援に全力を尽くすと表明。3月18日から3日間、23日から3日間、すでに学生ボランティアの先遣隊が東北入りしていることを明らかにし、社会貢献学会としても支援委員会を発足させ、東北での支援活動のあり方を調査し、今後も息の長い支援をすることを約束した。これまでに集まった義援金も披露された。
意見交換では、やはり、燃料、とくにガソリン不足が今回の被災で最も深刻な問題だったことが明らかにされた。福富センター長は、今後は大学で自前のガソリン備蓄などの検討も必要だとした。また、災害情報の一環として非常に有効なコミュニティーFMが気仙沼や石巻、塩釜などに相次いで開設され、福祉大の女子学生が避難情報などを流したことも報告された。今後のボランティア活動の見通しについても議論され、前林教授からは、出来る活動として、炊き出し、泥出し、足湯などを通じた被災者との対話、子どもと遊ぶ、心のケアの5つを挙げ、「出来れば、東北福祉大を拠点として、行ける所まで行って活動したい。5月の連休や夏休みには多くの学生を連れてきたい」と話した。
大学自体が被災した今回の大震災。まさに、遠く離れた大学同士の連携協定の真価が問われることになるだろう。東北福祉大学も被災校として厳しい大学運営が迫られるだろうが、ボランティア活動の雄としてぜひ、全国からの多くの学生たちを受け入れるセンターの役割も担っていただきたい。
(社会貢献学会広報委員長・安富信)