災害ボランティア:現地コーディネーター活動記録(第1~第3次派遣分)

神戸学院大学は、この度の震災において被災された方々をご支援するために「東日本大震災支援対策本部」を設置し、募金活動や現地でのボランティア活動を行っています。

現地でのボランティア活動をよりニーズに即したものにするため、神戸学院大学では5月より現地コーディネーター1名(仙台市出身)を宮城県へ派遣しています。

現地では、連携校である東北福祉大学、名取市・石巻市、災害ボランティアセンター、社会福祉協議会、避難所や仮設住宅自治会等との打ち合わせ、ニーズヒアリング、活動の組み立て、学生受け入れ、事後フォロー、また被災地の情報収集・発信、他支援団体との情報交換などを行っています。

これまでの活動内容を簡単にまとめ、以下のとおり報告いたします。

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【活動報告】
■第4次派遣(8月8日~9月28日):
・現在活動中

■第3次派遣(7月8日~7月27日):
《活動》
・7月15日~18日大学ボランティアバス活動内容の調整、引率補助(東北福祉大学、工学院大学)
・名取市の増田西小学校、不二が丘小学校、閖上小学校、館腰小学校を訪問し、入学式記念写真を手交
・情報収集(東北福祉大学、東北学院大学災害ボランティアステーション、沖縄大学、宮城大学、名取市社会福祉協議会、石巻市社会福祉協議会、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、こうべまちづくりセンター長)

《被災地一般情報》
・最終の一週間、緊急地震速報が起動する余震が2回あった
・仮設孤独死がすでに宮城県で2例確認されている。被災者に健康管理や孤立を防ぐコミュニティづくりが緊急課題となっている
・仙台東署は、仮設住宅を巡回し防犯などの相談を受ける「ミヤギノかけはし隊」を結成。隊員は、震災直後から避難所を巡回してきた東署員や防犯協会関係者ら。防犯対策のほか、住民のニーズを区などに伝え、かけ橋となる役割も担う
・宮城県震災復興計画(第2次案)がHP上に公開され、パブリックコメント受付中(http://www.pref.miyagi.jp/seisaku/sinsaihukkou/iken.htm)
・名取市の避難所はすべて解散し、名取市災害ボランティアセンターも6月末にて大幅縮小(実質閉鎖)。泥出し作業や家屋の片付けなどの復旧活動は大方6月末で終了することができたため。7月からは週2回(金曜日と土曜日)を作業日とし、必要に応じて災害ボランティアセンターからボランティアへ電話にて作業依頼を行っている
・17日と18日、名取市復興計画を策定する「新たな未来会議」は、復興計画骨子を住民に提示した。方針策は①災害に対する安心感があるまち、②閖上の魅力を生かすまち。魅力を生かす方策としては「海との共生」「歴史の継承」「歩いて暮らせるまち」を挙げた
・気仙沼市の避難所・付近での暴行事件、傷害事件が報道されている。本学学生には単独行動は避け、集団行動をさせる必要がある
・福島県では、子どもに対する放射線の影響が懸念されている。保護者のなかでは、少なくとも夏休みに子どもを疎開させたいという希望が多い

■第2次派遣(5月26日~6月13日):
《活動》
・5月26日~28日大学ボランティアバス引率補助
・6月2日~5日大学ボランティアバス活動内容の調整、引率補助(名取、石巻ボランティアセンター)
・6月10日~13日大学ボランティアバス活動内容の調整(名取ボランティアセンター、石巻市避難所(ビッグバン))
・情報収集(東北福祉大学、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

《被災地一般情報》
・5月30日の大雨と強風により、宮城県沿岸部各地での浸水、冠水、土砂崩れが相次いだ。地盤沈下をした地域の浸水は深刻で、今後の梅雨と台風シーズンへの不安が募っている
・仙台市は、震災で自宅を失い自力での再建が難しい被災者を対象とした災害公営住宅を2,000戸整備する。仮設住宅入居期限となる2013年度内に約600戸の供給を目指す
・学校給食センターが被災した影響で、被災地の小中学校の給食はパンと牛乳のみというところも未だにある。仙台市では、6月1日から71の小中学校で完全給食を再開した。仙台市全体では8割の学校で主食とおかずを食べられるようになった。残る2割は6月下旬~8月に復旧する見通し
・6月7日現在、名取の避難所は2つに統合されている(増田西小学校に11名、増田小学校に20名)。避難所から仮設住宅へ移行が進んでいる。名取市ボランティアセンターは今後仮設への支援も行っていく意向だが、いつから・どのようにといったところは検討中とのこと
・盛岡市は宮古市川井地区に、沿岸部の被災地で活動するボランティア拠点施設「かわいキャンプ」を7月上旬から置く。2010年に廃校となった旧宮古高校川井分校を活用し、100名が宿泊できるよう教室に畳を敷き、間仕切りや簡易シャワー施設を整備する

■第1次派遣(5月9日~5月22日):
《活動》
・5月12日~15日大学ボランティアバス活動内容の調整、引率補助(名取、石巻ボランティアセンター)
・5月19日~22日大学ボランティアバス活動内容の調整(名取、石巻ボランティアセンター、名取第一中学校、全国赤十字ビューティーケアボランティア連絡協議会)
・情報収集(避難所(六郷小学校)、東北福祉大学、JICA東北、「第3回ふっこうカフェ」参加、講演会「祈りの心―東日本大震災に宗教はどう向きあうか-」参加)

《被災地一般情報》
・GW後のボランティア不足が深刻化している。新学期が始まり、これまでボランティアセンターの運営を担っていた高校生・大学生が活動できなくなったことが大きい
・現在、宮城県下ほぼすべての災害ボランティアセンターが県外からのボランティアを受け付けている
・仙台市は6月、仮設住宅の人々を支援する「安心見守り協働事業」を開始する。NPOパーソナルサポートセンターに業務委託。被災者を絆支援員として雇用、入居者間のコミュニティ構築支援を行う
・従来型の仮設住宅以外に、地元木材を使った被災者用住宅建設で雇用も生み出し、復興につなげようという試みが宮城県(栗原氏)、岩手県(住田町)で始まっている
・仙台市教育委員会は、今年3月末に策定予定だった市教育振興基本計画(2011~2015年度)の内容見直しを決定。東日本大震災を受け、災害復興の視点も新たに盛り込み、防災教育分野を拡充する
・“復興市”などのイベントが喜ばれている。地域の人々の交流の場として機能している
・災害廃棄物は宮城県内で最大1,820万トン(予想)。宮城県は、1年以内に現場から撤去し、3年以内に焼却・破砕処理を終えたい意向。早ければ16日から私有地のがれき撤去を始めるため、思い出を急いで探す人々の姿が報道されている
・名取市は仮設住宅入居開始が早く、GWに102世帯入居、6月上旬には900世帯が入居予定。仮設住居への引っ越しボランティアも今後増えていく見込み
・名取市閖上地区の住民らが「閖上復興・まちづくりを考える会」を発足。5月10日の初会合には、町内会や漁業、商工業者、NPO代表ら約30人が出席。具体的には「安心して住める災害に強いまち」「雇用があるまち」の両立を目指し、地域住民主体の意見交換や情報収集、専門家グループと連携した復興計画提案や行政への要望を行う
・NPO地球のステージ(紛争地域等での医療活動NPO)が名取において活動中。津波の記録映像や体験談を収集し収蔵する「津波記念資料館」を開設予定。心のケアやPTSD治療などに活用予定(http://www.tsunami-memorial.org/)
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以上